コラム
- 2018/01/29
- 院長コラム
歯周病やむし歯は心疾患のリスクとなる
お口の細菌が関与する心疾患は、血流に細菌が入ることによって引き起こされる感染性心内膜炎と生活習慣病の冠動脈疾患に分類されます。
生活習慣病の心疾患の多くは、心臓の筋肉に血液を供給している冠動脈の後天性疾患です。
冠動脈に狭窄や閉塞が起こり、心臓の筋肉への血液供給が止まるので虚血性心疾患ともいいます。
栄養・運動・休養・飲酒・喫煙・歯みがき不良によるお口の状態の悪化など、日々の生活習慣が原因となって冠動脈疾患が発症します。
感染性心内膜炎
歯周病やむし歯の病巣から口の中の細菌が血流に入ると、細菌が心臓の内側の膜または弁膜に感染巣を作る場合があります。
この場合は感染性心内膜炎といって、感染症に分類されます。
ラットによる心疾患モデル実験では、多くの口腔のレンサ球菌がほぼ100%の確率で心臓の内側の膜または弁膜に感染巣を形成します。
このことから心疾患を防ぐためには、歯周病やむし歯を予防する必要があることがわかります。
生活習慣病の心疾患
生活習慣病の心疾患に関しては、アメリカとドイツの2つの大学で3週間歯みがきを中止して健康観察をした実験が報告されています。
歯みがきを中止すると、歯肉に炎症が起きますから、歯面で増殖したプラーク(歯垢)の細菌が歯周組織から血液中に入り細菌毒素(エンドトキシン)によるエンドトキシン血症を発症します。
細菌毒素(エンドトキシン)が血流に入ると動脈硬化を示す血液マーカーも上昇します。
歯みがきを再開するとエンドトキシン血症は治癒しました。
動脈硬化を示す血液マーカーも正常値に戻りました。
この実験で、歯みがきの有無によって全身の血管の健康度が左右されることがはっきりとわかったのです。
冠動脈は、細菌毒素(エンドトキシン)による慢性炎症を起こします。
こうして冠動脈の狭窄や閉塞が始まり、心疾患になると考えられています。
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