コラム
- 2015/11/19
- 院長コラム
発症リスクが2.7倍!?歯周病を持つ人・持たない人の関節リウマチ発症について
近年、歯周病と関節リウマチとの関係が注目されている。関節リウマチ患者の約8割の血液中には、抗シトルリン化蛋白抗体(抗CCP抗体)という、シトルリン化反応を経たタンパクを認識する抗体が検出されるが、この抗体はしばしば関節リウマチの発症に先だって検出される。また、歯周病菌の一種であるポルフィロモナス菌がシトルリン化を起こす酵素を産生する細菌であることも報告されている。
そのため歯周病の罹患が、この歯周病菌の持つシトルリン化酵素による過剰なシトルリン化を介して抗CCP抗体の産生を引き起こし、関節リウマチの発症につながっているのではないかと考えられるようになったのだ。
そこで、京都大学医学部付属病院の研究グループは、この相関関係を証明するために研究を開始。その結果、健常人の約1.7%に、関節リウマチを発症していないにもかかわらず抗CCP抗体の産生が確認され、この抗体の有無や力価と歯周病の臨床評価の指数とが有意に相関することを見出した。
さらに、京大病院リウマチセンターを未治療、未診断で受診した72名の関節痛患者の歯周病状態を評価。それらの患者がその後関節リウマチ発症するか、2年間の追跡調査を行った。その結果、初診時に歯周病を持たない患者と比較して、関節リウマチと診断されるリスクが焼く2.7倍高くなることが判明。
研究グループは今後、歯周病が関節リウマチの発症に影響を及ぼすメカニズムが抗CCP抗体の誘導だけなのか、あるいはポルフィロモナス菌が特に関係しているのかなどについては、さらなる研究が必要としている。
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